MA-1ファスナー交換修理

春が近づいてまいりました。

今年も寒いと噂されていましたが、それほどでもなく暖かい2月下旬を迎えました。

コロナで外出が制限されている中、アパレルもクリーニングも服を着ないことで大変な状況です。

このような状況でも、大切に使っている衣類は劣化していきます。

お気に入りの衣類をまた着用出来るようにするのも、エシカルですね。

今回は、MA-1のファスナー修理をご案内させていただきます。

アンティークなデザインのフライトジャケットの定番、MA-1のファスナーが劣化してしまいました。

症状としてはスライダーを差し込む蝶棒の外れですが、綿製のテープなので劣化して生地が伸びています。

アンティークな似たファスナーに交換しました。

スコビル(SCOVILL)のファスナー

(元のスライダーは少し黒味がありますが、エレメント(務歯/むし)の黒メッキが剥がれてしまっているので、アンティーク丹銅色に交換します。)

引手の革を移動しました。

バズリクソンズ製のフライトジャケットです。

劣化したファスナーを片方だけ外した状態です。

中にムートン(羊の毛付き革)が入っています。

ムートンで風を防ぎ、暖かさをキープします。

古いファスナーを外して、ファスナーを交換して完成です。

ムートンが入っている分、厚みがあります。

革も縫える上下送りミシンを使い、太い糸で縫います。

これで完成です。

左右の位置やバランスを合わせます。

失敗して革に穴を余計に開けると、革が使えなくなりますので、一針一針丁寧に縫っていきます。

革の修理が通常お倍とお高いのは、失敗が許されないため、ミシンを使わず手縫いをすることも多いからです。

今回のファスナー修理は、ファスナー代込みで10,000円です。

ファスナーが特殊な場合もありますので、復刻版が使えない場合もあります。

 

スプリングスライダーのファスナー

特に、WWⅡのフライトジャケットは、年代物でTALONが50%、CONMARとCROWNのファスナーが50%と2分しています。CONMARを始めとする50・60年代は今回のMA-1のようなブラックフィニッシュジッパーが使用されています。

特にMA-1の前身であるB-15やN-2Aなどの、復刻版のファスナーは手に入らないので、デットストックを扱っているMASHさんなどで販売されている当時物(1952年(朝鮮戦争)・1962年など)のファスナーを購入して修理することになります。

スプリングスライダーのファスナーは、1本で8,000円くらいいたします。(プレミア価格が付いていますね。)

また、タロンやWALDES(ウォルディス)の復刻版のファスナーはございますが通常の金属ファスナーのみでしたら、両方とも当店で扱っております。

しかし、スプリングスライダーに似せた復刻版は、当店では黒色以外には手に入りません。

ブラックフィニッシュジッパーでしたら黒色で良いのですが、ファスナーの色は生地の色に合わせた薄い緑色塗装が多いですね。

復刻版も製造されておりますが、この形状に似たストッパー付きのファスナーは黒色しか手に入れることは出来ませんので、復刻版では対応を致しかねます。

残念ながら以下のように、「スプリングスライダー」が付いている緑色のファスナーは当時物でしか手に入りません。

ご理解のほどお願いいたします。

(この画像は、お客様の画像を引用させていただいております。構造がよく分かりますが壊れたら直せません。)

当店はWALDESさんの代理店で、日本製ですし1本からのカスタム製造にも融通をきかせて応えてくれています。

当店ではWALDESのファスナーは在庫しております。

問い合わせの多いクラウンは1964年に30年で歴史を終えましたので、上記のような当時物を購入する方法で直すしかございません。

 

メーカーの歴史について

クラウンは、1930年代から高圧鋳造方式でシェプロン型と呼ばれる務歯、V字型を採用し、1944年から2ndモデルの現在でもよく見る務歯に変わり、スプリングスライダーが採用され、MA-1に使用されているオートロックスライダーが多く採用され、1960年代まで製造が続いていました。

1893年に創業した最古のメーカーであるTALONは、1991年に倒産しており、現在作られているのは復刻版です。

安くは直せないかもしれません

安く直す方法はありませんか?

という質問を受けることが多いのですが、デザインを重視されるのでしたら、当時物を購入される方もいらっしゃいますし、WALDESやタロンなどの復刻版を購入してお直しされる方もいらっしゃいます。

元々が復刻版を購入された方は、安く購入されているのでこだわりはなく、YKKなどのメーカーでアンティークであれば良いという方も多くいらっしゃいます。

こだわり応じて金額が異なるのが、ミリタリー系の修理やメンテナンスなのかもしれませんね。

とにかく、フライトジャケットでは一番早く劣化してしまい修理が必要なのがファスナー、次にポリウレタンやゴムを使用している袖や裾のリブといったところでしょうか。

リブも小さい穴であれば、穴修理が可能ですが、裂けてしまったらリブの交換修理となります。

 

フライトジャケットのクリーニングについて

ムートンも当時物ですと羊革を使用していますので、劣化していますが、外からは見えませんね。

クリーニングするときは、ムートンも劣化しているので、縮みや固くなるなどの不具合は必ず起こります。

なるべく、劣化をしないように洗いますが、ご理解の上でのクリーニングをご依頼いただければ幸いです。

 

マルエイクリーニング

前田俊雄

この記事を書いた人

Toshio Maeda
Toshio Maeda
八王子市のマルエイクリーニングです。
大切な一般衣類をお直してみませんか?
すぐに捨ててしまうのは「もったいない」ですね。
弊社はキズ・穴修理500円~で「接着修理」を、「かけはぎ」は5,000円~で承っております。生地によっては、縫い合わせた方が綺麗になります500円~。
ニット・洋服のキズ・穴修理は、『穴かがり修理』500円~『縫込み修理』500円~『編み直し・かけはぎ』5,000円~まで、お客様の仕上がりのご要望に合わせてお見積りいたします。
ジーンズリペア(1,000円~)ファスナー修理(800円~)もおすすめです。

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